正義と悪意

朝、早く目が覚めたので、枕元の積読棚から適当にチョイス。

告白

告白


自分で買った覚えはないから、誰かから回ってきた本だと思うのですが、最近あちらこちらで話題になってますね。
本屋大賞」を受賞したことで、一気に有名になったという印象です。
内容は、すでにあちこちで聞かれていると思うので割愛。
自分の娘を生徒に殺されたシングルマザーの女性教師と、殺すに至ってしまった生徒、状況を外から観察している生徒、狂言回しのような新人教師。
なんつーか、全体的に胸くそ悪いです。
全員が「己のエゴ」を、それと気づかず、気づいていてもあえて己で助長して、展開していくストーリー。
サスペンスでもなく、ミステリーでもなく。
生徒たちは、自己顕示欲に駆られながらも、まだ母親から離れることのできない、いわゆる中二病
勝手な正義感と、責任感を振りかざす。
大人たちは、それぞれの職務を全うしようと考えつつも、エゴに縛られている。
各章が個人の独白で成り立ち、シーズンを通して語られる形で、ストーリーは進行していきます。
この本がなぜ「本屋大賞」に選ばれたのか?なぜ、書店員たちの支持を集めたのか?
その気持ちが、わかるようなわからないような、わかりたくないような。
軽い気持ちで読み始めたのを後悔しました。
朝っぱらからお茶片手に読む本じゃなかった。
もちろん、さすがの筆力と構成で、最後まで一気に読み切れるだけのテンションはありました。
でも、読後感が…。なんか、苦い薬の後味がずっとのどの奥からわき上がってくるような感じなんですよ。
どうにも、ワタシには釈然としない思いでいっぱいなのです。


似たような形式で、各章独白形式だったのが、ちょうどその前に読み終えた

吉原手引草 (幻冬舎文庫)

吉原手引草 (幻冬舎文庫)


こっちは、江戸時代の吉原を舞台とした、花魁失踪事件を追うミステリーでした。
似たような文章体裁をとっていたので、比較せずには居られませんが、もっと大人数の複雑に入り組んだ人間関係で、最後びっくりの結末。
華やかな花魁の様子が、目に浮かんでくるような緻密な描写と相まって、してやられたりと、思わず笑みがこぼれてしまいました。