初めての平野啓一郎

「日蝕」が初めて文学賞をとった頃から、読まなくちゃいけない作家さんだと思いつつ、どうにも手が伸びなかった。
別に難しい話が苦手だからとか、漢字が読めないとかそんなんじゃないし。もっと小難しい話を読むこともある。しいて言うなら、コンプレックスだったのかもしれない。なんに対してかもわかんないような。

平野啓一郎を読むなら何からがいいか?」と聞いた時に、某文学少女がおすすめしてくれたのがDAWN。

 

ドーン (100周年書き下ろし)

ドーン (100周年書き下ろし)

21世紀半ば、東京大震災をくぐり抜けNASAの宇宙飛行士として火星往還ミッションをこなした明日人。2年半のミッションの間に起こった不可解な事件と地球に帰ってきた明日人に投げられる避難。
並行して、大統領選をめぐる軍事産業カンパニーの駆け引き。
最初は火星往還というSFを中心にしたミステリーなのかと思ったけれど、それ以上に政治色のほうが強くて、頭の中「??」になってしまった。 

ポイントなのは顔認証システムによる個人追跡「divisual」と、個人の中にある他社と対面するための外的人格「dividual」という対立構造だった。
「divid」 とは『誰かと対する時、その対峙者のための人格になる』という、ペルソナとはまた違った自分自信と分離しがたい自分の中の一面ということなのだろうか?一方で「visual」に接頭詞「in=否定する」がついたシステムによって、すべての監視カメラから個人の行動履歴を追跡可能にしている。

もっと考えれば真面目な書評になるのだろうけど、あえてそこまでするつもりはないw
自分というもののあり方を拡散してその中心を見極める試行錯誤をしていているように感じられた。

すくなくとも、ワタシは他の作品も呼んでみるべきだと思った。 

日蝕 (新潮文庫)

日蝕 (新潮文庫)