懐かしくて新しいもの

先日のアマゾン箱一杯の本の中のひとつです。(全部読み切れるのはいつのことやら・嬉)

おもいでエマノン (リュウコミックススペシャル)

おもいでエマノン (リュウコミックススペシャル)


原作は20年以上前に出た梶尾真次さんのSF小説で、最近再版された
おもいでエマノン (徳間デュアル文庫)

おもいでエマノン (徳間デュアル文庫)


こちらもイラストは鶴田謙二さん。
読んでみて思ったのが、なんてベストマッチな組み合わせ!!


時代は1960年代。
鶴田サン独特の雰囲気のある不思議な女の子「エマノン」(nonnameの逆読み)と、失恋旅行中のSF好き青年の、フェリーでの一夜の物語。
生命が誕生した時からの記憶を持つと言うエマノン
死なない訳ではなく、常に自分の子孫に記憶を繋いでいる。
1960年代のファッションはちょっとヒッピーっぽくて、エマノンもすぱすぱと延々タバコを吸っているのがチャーミングな特徴。*1
70年安保は知らないけど*2、大学生時代のグダグダした停滞感はわかる。
ケータイも新幹線もPCもない時代。
サイバーでもメカニカルでもないけれど、これは立派にSFだと思う。
SFだけど、大学時代の言いようのない停滞感を描いた青春小説/マンガでもあるように思う。
フェリーでの17時間の物語。
知らない時間にノスタルジアを感じるのは、おかしいかもしれないけれど、この作品が21世紀の今改めて世に出たことがとても嬉しい。


13年後。(つっても1980年か)
エマノンと主人公が再会するシーンが、最後にぴりっと良い〆になっていると読んでいて感じた。
ノスタルジアに浸りたい夜のために、ベッド脇に置いておこうと思う。

*1:現代ならあんまり見ない光景だよね。

*2:だってワタシの生まれるずっともっと前の話しだし