13才の罪
桜庭一樹はずるい。
と、思う。
「私の男」を読んだ時にもそう思ったけど、何がどうだかうまく言えないけどずるい。
人間の一番えぐいところを、ちょいとつついてピンポンダッシュのように逃げて行く。
読むとそんな印象を覚える。
ワタシは作品を読む時に、その主人公と自分の年齢の差で、印象が大きく変わることがあると思う。
主人公と自分が近いか、それとも自分がたどってきた道か、これから進んで行く道か。
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/12
- メディア: 文庫
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この作品は、13歳の女の子二人が犯した二つの殺人の話。
いつも一緒にいる友達のグループ、クラスの中で異彩を放つ黒髪の少女、夏休み、冬休み。
もともとはジュブナイル*1として書かれたこの作品を、その年齢で読まなくてよかったと思った。
読んだら、桜庭一樹を大っ嫌いになっていたと思う。
少女と言う弱くて強い存在。
自分が弱者であることを認めつつ、抵抗するすべを模索する。
抗い、戦い、そして殺める。
しかし、それを認め「大人」に裁かれることで、自分たちの罪を他人にゆだねる。
ずるい。
何てったってずるいんだ。
少女であることを、無意識に最大限に利用している。
今ワタシは大人だから、それを理解してあげることができる。
共感してあげることができる。
この作品を書いた時、作者:桜庭一樹は十分に「大人」だったはずだ。
なのに、どうやって「葵」や「静香」になれたのか。
やっぱり、桜庭一樹はずるいと思う。
*1:というより、ラノベ?