ひとみしりはめんどうくさい

死にぞこないの青 (幻冬舎文庫)

死にぞこないの青 (幻冬舎文庫)


乙一久しぶり。
暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)


GOTH―リストカット事件

GOTH―リストカット事件


あたりを、ずっと前に読んだ記憶があるけど、自分からは何となく手を出せないでいた。
ちょっとしたきっかけがあって、「死にぞこないの青」に手を出して、速攻読み切れてしまった。
主人公は小学生だけど、書いているのは「大人」だから、説明がいちいち「大人くさい」。
説明がくどい。
面倒くさい。
何より、最初の頃は主人公がむかつく。
諾々と理不尽な現実を受け入れていく様子は、むかつくほどに非力だけれども、わからないでもない。
積み重ねられる理不尽の表現。
そこが面白い。
自分の心の分身「青」の存在を受け入れ、「青」の暴力性におののく。そして、同情する。
それが自分の一部だとわかっているから。
カタルシスは確かにある。
ただ、そのカタルシスに畳み掛ける、余分な説明はいらないと感じた。
正直なところ、全体を通しても気分が良くない小説だった。
「ワタシの苦手な乙一」満載。
でも読んだことを後悔するかっていうと、そうでもない。
不思議な読後感。
多分、記憶に残りにくいタイプ。